現役Webデザイナーによる、UXって結局なんなのをスッキリさせる

デザイナーのオモトです。

UX DAYS TOKYOさんなど、UX界隈で有名な方々のセミナーに行ったり、UXデザイナーと名刺に書いてある方々と話したり…あちこちで勉強させていただいたので、この場をお借りして、今までごっちゃになっていた事を整理してスッキリしたいなと。

 

私の悩みと経緯

今の私のポジションは「マーケティングに理解があるWebデザイナー」という感じ。30過ぎたので、今後10年のキャリアをどう積んでいくか、死ぬほど悩んでいます。

 

いろんな出自の人が「UXデザイナー」を名乗っている時代

プログラマー出身の人だったり、はたまたディレクター出身の人だったり…「純粋なデザイナー」じゃない人まで、誰も彼もがUX「デザイナー」を名乗って、UXを勉強している。なんだろうこの状況…。デザイナーってこれからどうなっちゃうわけ?
わかったのは、「UXデザイナー」は、デザインを主な業務とする「Webデザイナー」だけのものじゃないってことだ。だから「UX」に関しても、各々のこれまでのキャリアによって語る内容、語れる幅が大きく異なる。

 

「UX」って名前が独り歩きしてごっちゃになっている

同業者の話を聴くと、「それって、普通にUIデザイナーの仕事してるだけじゃないの?」って感じることもほんとに多い。(※UIデザイナーとは、簡単に言うとAdobe xdなどを使って、ユーザーが触って操作する見た目の部分(UI)をデザインする・デザインガイドラインを作って、サービス内で一貫したUIデザインを作る人の事)実際に「UXデザイナー」と名のつく人が、「一般に何を業務とする人なのか」は、その会社の業務内容に依るという感じで、非常に曖昧かつ、「本来の目的」と違う目的で使われる事が多い。

 

UXとマーケティングの違い 

根本的にUXに対して誤解してた事。(UX DAYS TOKYOさんのセミナーで教わりました)
マーケティングの中にUXが含まれているわけでなく、「ビジネス」の上に「マーケティング」と「UX」が横並びに存在しているのが正しい理解。だから、どっちが上とか偉いとか、正しいということもない。 

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(ソース元伺ったのですが、忘れてしまった…。)

UX(ユーザー体験)vsCX(顧客体験)「お金」を考えるかどうか

ここが曖昧だからマーケティングとUXがごっちゃになる。要は「対象」が大きく違う。

「CX」は、カスタマー(顧客)・エクスペリエンスの略で、「顧客=利益になる人」で、常にお金がつきまとう。のに対して、

「UX」は、ユーザー・・エクスペリエンスの略で、「ユーザー=サービスを利用する(しようとする)すべての人」が対象で、利益に繋がらない人のことまで考える必要がある。

つまり「『売る為』に導線を考える」は、UXではなく、CXということになる。ちなみにサービスの料金形態やサービスの提供範囲などは「ビジネス」の部分にあたる。

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UXデザインをやる上では、「売ることを考えてはいけない」のだ。

ペルソナや、カスタマージャーニーなど、マーケティングとUXで同じツールを使うこともあるが、「対象」が違うので、使う目的も抽出するデータも結果も全然違う。

 

ただ、感覚的なところでいうと、CXとUXの境界はグラデーション・スペクトラムのように感じるのでごっちゃになるのかなとは思う。

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細かく見ていくと、「目的・ゴール」「対象」「行動喚起」「ブラックボックス」の部分が違う。以下にそれぞれの違いをまとめてます。


マーケティング(CX)

  • ビジネス上(売り上げを上げる)のゴールを目指す
  • 「見込み客」って言い方からもわかるように、基本的に直接的な売り上げに繋がるユーザーが対象
  • 最終的に『購入・継続利用させる』ゴールありきで、ユーザーをどうゴールまで扇動するか(行動喚起)というイメージが近い
  • 利益率の高い 「顧客との接点」がどこにあるか?最短距離は?(ブラックボックス)を探るために、A/Bテストなどのツールを利用

 マーベル・スパイダーマンミニゲームの中に「回路のタスク」という、誘導ゲームがあって、私の中ではこれがマーケティングのイメージ。

f:id:ds-blog:20201217160702j:plainユーザーがサービスを使ったり、知っていくうちに「なんか自分の目的と違うな」って人が、道の途中でこぼれ落ちてる(でも、そういうもんだと思ってあんま気にしない)感じ。

 

■UX

  • ユーザー全てが「それぞれのゴール」を達成できるようにするのがゴール
  • 売り上げに繋がらないユーザーも対象
  • たとえ、ユーザーが、こちらの設定するゴール(購入・継続利用)に至らなくてもOK。それぞれの接点で、サービスへの不快感なく、良い印象・感情を持って貰うための行動喚起。
  • ユーザーがどう思ったか?思考・感情(ブラックボックス)を探るために、A/Bテストを利用

詳しくは後ほど解説します。

 

UXとマーケティングは、同列にあり、対象が異なるから必ず意見がぶつかる、どっちが正しいもない

具体的な例を出すと、サイトのトップにある「キャンペーン広告のバナー」 一つにしても、UX的には「ファーストビューで、いきなり広告はうざい、邪魔だから外したい」とユーザーの快適な閲覧(思考・感情)を優先するのに対して、一方でCX的には「ファーストビューが一番離脱が低いし、CVが高いから残したい」と結果を優先する。

一見、CX視点の方が、売上に繋がる根拠があるし、正しく見える。

が、この場合「キャンペーン広告のバナーを残そう」というマーケティングの意見だけが、優先されてしまっている。つまり、この現場では、極論だけど、CXを重視していて、UXは重視してないということにもなっている。(これはリアルにそういうことらしいです。)

 

UXとCXの両立は可能

ちなみにこのバナーのCXとUXの両立を考えていくのは、会社の業務で言うと、「広告モデル」の改善業務に当たる。マーケティングチームとUXチームが一緒になって、「売り上げを下げない方法を探す」という事をするそう。つまり、UXの上でも邪魔にならず「ユーザーが欲する最適な場面」で提案でき、マーケティング的にも売上に影響しないからOKとなる方法を模索していく。ただこれはそれなりに、テスト期間が必要ではある。

 

で、UXって結局なんなの

言葉の意味合いだけで言うと、UXは、ただの「ユーザーの体験(=結果としてのユーザーの「行動(決断の果てに得た価値)」でしかない。なので、UX「戦略」であったり、UX「デザイン」とつける事でその粒度が変わってくる。

 

で、UXデザインとは結局なんなの

ふわっとしたことを言うと、「なんの価値(WHAT)を、どう届けるか(HOW)」。あくまで「使い心地」「サービスの価値」という視点で「ユーザーにとっての嬉しい体験を実現する仕組みをデザインすること」。
「UXデザイン」は、狭い意味で使われる事が多く、嬉しい体験とはつまり、ユーザーとの対話を通じたテストなどを行って、ユーザーのネガティブな心理を減らしつつ、付加価値をつける(価値・WHAT)ための仕組み(どうやって・HOW)を考える。ということ。

 

広い意味になると「UX戦略」

広い意味では、UVER EATSの例で言うと、「家に居ながら外食が楽しめる」ようにするため(価値・WHAT)に、「テイクアウトを提供するお店との連携」「裏側のオペレーション」「配達スタッフ」「アプリの提供」の大きい仕組み(どうやって・HOW)を考えること。

 

UXデザインの大きな特徴「ユーザーがいるステージごとに違う」

カスタマージャーニーの話になるが、「注文前」「配達中」「配送後」等、ユーザーの「ステージ・接点」によって、「行動」「心理(意思決定・経験からの学習・感情)」「ニーズ」が大きく異なる。そのステージごとに、ブラックボックス化されている「感情の流れ」に注目し、ユーザーが、価値を受け取る流れやオペレーションを「嬉しい仕組み(行動喚起)」にしていくのがUXデザイン。

  

UXデザインでは結局何すんの?何を検証するのか?「『心理の変化』をブラックボックスにしない」ということ

検証すべきは、「ユーザーの心の動き・変化」。

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デザイン(UI)+(ブラックボックスになってる心理・仮説)=行動(UX)

だから、「UX 心理学」「UX 行動経済学」「UX ライティング(※心に影響を言い方)」的なワードが注目されている。

デザインを見たユーザーの心理に変化があって、はじめて行動が変化する。その小さな嬉しさがそれがちり積も的に「連鎖」すると、「サービスの好感度や満足度」が上がり、やっと売り上げに繋がる…。

なのでUXにおけるゴールは、いわゆるCVではなく、「デザイン」と「心理」の関係性を明らかにすること。とその「印象(思考・感情)」を最適化することなわけです。

 

UXデザイナーと呼ばれる人たちが日々の業務でやっていること

独特なところで言うと、

①それぞれのプロジェクトにおける「つけたし」の提案(「ユーザーインタビューしましょう」とか)

②「カスタマージャーニーマップ」「ユーザーシナリオ」の作成・ブラッシュアップ(ユーザーの心理面)

③「ヒートマップ」や「SEOの結果」から「ユーザーの心理」面での課題抽出・仮説を定量的に検証

④「ユーザーテスト」の進行役。シナリオとデザインが想定通り機能してるかのテスト。

④「ユーザーの心理」視点での、UIバリエーションのパターンの提案と、A/Bテスト実施の責任者・プロジェクトリーダー

⑤社内への「UX」への理解と普及活動(ここが一番いま大きいとのこと)

 というかんじだそう。「UI/UXデザイナー」という肩書きの人が多く、専業っぽい人でもマーケティングディレクションなど、何かしらの業務も兼任している事が多かった。

 

 UXは、社員全員の基本的なマインドセットとして社内に浸透させるもの

学んでくうち、目指そうと思って目指すものじゃないというのが実感として湧いてきました。。

色々話を聴いて「業種としての」UXはいずれ、終わりを告げるというのが私の見解。つまり、社員全員の「当たり前」として浸透させるものだと思うから、誰か一人ができてれば良いという話ではない。

 「直接的な売り上げだけを、見てちゃダメだよね」は、現場の人間に関わらず、営業やサポートの人間にも持っていて欲しい視点。それが「デザイン組織」の話にも繋がっていく。

 

なので、今後10年のキャリアのために、UXデザイナーを目指すべきか?

と言われると、違うというのが私の答え。

結局、10年後に向けてキャリアどうするは、振り出しに。。はー(ため息)。

ただ、この10年でWeb業界の人間として、当たり前の作法なっていくので、生き残るには、身につける必要はあるとは思いました。

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